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夢と金。西野亮廣氏の新書を読んで胸が痛くなった話

夢と金。西野亮廣氏の新書を読んで胸が痛くなった話 LIFE

西野亮廣氏の新書が発売し、早速読んでみました。これがまた痛いし「自分はお金の勉強もしてるし、夢だって追いかけてるから(震え声)」みたいに構えてから読み始めたら開始から「目を覚ませこの野郎」と平手打ちを喰らう冒頭。

子供にお金の大切さを説き、しっかり貯金をしなさいと勧め、テストで100点を目指して毎日一緒に勉強。
仕事であるWeb制作では「最速」にこだわり、「誰もが利用できる」にこだわり、「機能」にこだわり続ける日々。

見当違いのこだわり

この書籍を読んで最も胸が痛いと思えたのは「自分が苦しい思いをしていることを、後世にも強要するのか?」という問い掛けである。更に「機能」は高付加価値には既になり得ない時代がとっくに来ているのだと。
心のどこかで細部に拘るクリエイターが世の中を支えている、という自負はあった。しかし、それはWebクリエイターとしては10年前、あいや5年ほど前かもしれない。既に一定のクオリティが当たり前となったWebサービスに溢れる世の中で、今以上に拘り続けるのは「オーバースペック」なのかもしれない、という事実を受け入れなければ行けない気がした。

Webクリエイターとして

同業者には怒られるかもしれないけど、Web制作は既に一定の品質が担保できるような時代に突入している。一昔前みたいに何も考えずプログラミング(あえてプログラミングと書きます)をして、HTMLやCSSもその場しのぎの書き方をして、そこらへんからコピペしたJavaScriptなりPHPなりを流用して、見た目はそれっぽいけど「視覚障害を持った人」は使えないサイトになったりなどは割りとよくある話であった。
そこはこだわりを持って作っている、といっても裏のソースコードを見ても理解できない人も多く、よくしらない人は「他の人が言ってたけど、あのソースコード大したことないって言ってたよ」みたいなこともたまに言われるときもあった。悔しい。理解してくれる人がほしい、なんて筋違いのことを思ったこともあったけど、実際に障害を持った方から「誰も気付いてないかもしれないけど、この機能のお陰でこのサービスが使えているよ」と言われたときは嬉しかった。
それが5~10年ほど前である。

もう必要ない、という企業の仕事

しかし、今の時代はブラウザも進化しているし、優秀なWebサービスも多く存在し、本当の意味で「視覚障害やなにかしらの障害を持った方」がまったく使えないというWebサービスはだんだん淘汰されてきた。読み込みに10秒以上かかるWebサービスだってだんだんと見なくなった。
見た目や演出がリッチでもある程度、僕がこだわってきた細部は「勝手に」やってくれるような時代になってきた。必死で必死で勉強をして、100点は無理でも90点、95点を取るためにこだわってきた部分ではあったが、ユーザーからも、なんだったら同業者からも「80点以上から認知できない」というような話をよく受ける。100点目指そうぜ!という話をしても「そこにこだわってもよくわからないし、80点取れてるしいいじゃん」という話だ。

気がつけば、機能は一定の品質を担保できるような時代になり、そこに生きがいを見出してきた自分にとって当書籍は平手打ちそのもの。
現実を見るしかない。なぜなら僕も、周りも、利用者もそのこだわりによって特別「裕福」になっているわけではないからだ。

いや、可愛い奥さんと、可愛い息子たち、可愛い猫たちに囲まれているので個人的には十分「裕福」ではある。

副業で十分じゃん、と諦めきれない本業

本業とは別の、個人的なお付き合いでお仕事を請ける。副業である。
決まってお話があるのは、別に僕が「特殊な技能」を持っているから依頼があるのではなく「あなたにお願いしたい」というお言葉をいただくことだ。
探せば僕の見積もりよりも安く、仕事を請けてくれる方もいるだろう。
それでも僕に仕事を依頼してくれる方々は「どうせお金を出すなら、知ってる人に出したい」というところだ。企業同士ではあまりない会話である。もちろん、そこの名指しを含めての営業能力だとは思うが、こと企業に所属しているクリエイターやエンジニアに至ってはそこが難しくなる場合も多い。

副業でお仕事をいただけている、という話をすると決まって「独立すれば?」というお話をされる。
たしかに、そのほうが僕個人としては収入が増える。これは間違いないだろう。

しかし、それは一時的かつ短絡的なものであり、未来を考えた場合は企業に(しかもできるかぎり大人数)所属するほうが近道だ。なぜなら、後輩たち、子どもたちが裕福になるためには僕一人の手数はたかがしれている。それであれば同じように目の前の利益だけではなく、子どもたちに投資をする企業に所属するべきだ。独立してコツコツそうした企業を作るよりも既にある場所に所属するのがよっぽど建設的だろう。

スキルというこだわりが自分も、子どもたちの首もしめる

と、思っていたのだが。。。
この書籍を読んでそれもまた考え直す必要が出てきた。
大人数がいる企業となると、「人を検索できない」という問題が出てくる。特に僕らWeb業界で働くクリエイターは自分の名前が表に出ることはめっっっっっっったにない。ほぼない。
あるとすれば自社サービスくらいで、クライアントサービスに対して自分の名前が出ることなんかほぼない。企業名すら出るということは稀だ。これを打破するために率先してセミナー開催とかしてみたときもあったが、結果的に自分の名前が多少表に出た程度。

せっかく育った子どもたちが固有名詞で検索に引っかからない。あくまで社内の、ローカルでの名前検索で、世間的な相対評価ではなく社内の絶対評価による給与体系で安く「スキル向上という搾取」をされる構図を、自分自身で作り続けてしまってきたのかもしれない。

自分の子どもたちはそんな僕を見て、僕みたいにパソコンをつかったお仕事がしたいと言ってくれる(と言いながらゲームをしまくる。飽きるまでやれ)。

自分はもう年齢も年齢だし、を言い訳にしていたが自分自身の話でいえば今この瞬間が一番若いのである。
今日から動かなければ、明日も動けない。

           

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ma-san(鈴木正行)
テクニカルディレクター / Webデザイナー

「ma-san」の中の人。東京都・千葉県・宮城県仙台市を中心に企業のWebデザイン/マーケティング/IT戦略のプランニングからWebサイト構築・運用をしています。
「Webサステナビリティ・Webアクセシビリティ」を中心に、「変わりゆくWebと共にサービス・サイトを改善していくこと」を重視します。
当サイトではお仕事のご相談からナレッジシェアを中心に活動していきます。

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