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今日は「中小企業から“ホームページを作りたい”と相談を受けたら、何からどう始めるの?」というテーマで、現場でそのまま使える“やることリスト”をまとめたいと思います。提案の型、ヒアリングの問い、法務やSEO、アクセシビリティまで、最初の一歩から運用までを一気にまとめます。
- 要約
- はじめに:よくある“つまずきポイント”を先回りします
- 0)事前準備:相談前に“型”を用意しておきます
- 1)ヒアリング(Why/What/When/How much)
- 2)現状資産の棚卸し
- 3)体制・契約まわり
- 4)スコープ定義 & 概算見積
- 5)情報設計(IA)/サイトマップ
- 6)コンテンツ計画
- 7)ブランド/デザイン方針
- 8)SEO 基本設計
- 9)アクセシビリティ(WCAG 2.2)
- 10)法務・コンプライアンス
- 11)CMS/更新運用設計
- 12)技術選定・基盤
- 13)計測設計
- 14)制作(デザイン→実装)
- 15)テスト/品質保証
- 16)リリース準備
- 17)運用・改善
- 付録:最初に用意しておくと早いドキュメント
- よくあるアドバイスへの小さな疑問と、現実解
- というわけで:今日から動けるチェックリスト(簡易版)
- まとめ:明確な“正解”より、回る“仕組み”を一緒につくる
- 参考リンク(公式多め・タイトル+URL)
要約
- 「誰のためのホームページか」を最初に握ると、後工程がラクになります。
- 見積は“スコープ×体制×リスク”の3点で考えるとブレにくいです。
- Core Web Vitals(LCP/CLS/INP)やWCAGを“最低ライン”に据えておくと品質が安定します。
- 日本の法令は「特商法表示」「個人情報保護法(APPI)」「クッキー運用の方針」を早めに方針化すると後戻りが減ります。
- リリース後の“運用KPI→月次レポート→改善”を契約に入れておくと、成果が積み上がります。
はじめに:よくある“つまずきポイント”を先回りします
「ホームページが必要なんです。まずはデザインを…」という相談はよくあります。ここでいきなりカンプに走ると、目的が曖昧なままスケジュールだけが進んでしまいます。あとから「採用が主目的でした」「多言語が要りました」が出てきて、手戻りが起きやすいです。なので最初は“Why/What/When/How much”の4点セットで、数字と日付と予算を仮置きします。これは面倒に見えて、結局いちばんの近道です。
0)事前準備:相談前に“型”を用意しておきます
- 相談の目的・背景の仮説メモを作ります。業界、競合、採用状況、問い合わせの季節性など、ざっくり仮説で十分です。
- 自社の提案フォーマットと見積テンプレを用意します。ページ一覧、機能要件、体制、スケジュール、リスクと想定対策を1スライドで説明できると強いです。
- RACI(責任分担表)を説明できる資料も1枚作っておくと、後で“誰が決めるか”で迷いません。RACIはResponsible/Accountable/Consulted/Informedの略で、役割の線引きを明確にする道具です。
1)ヒアリング(Why/What/When/How much)
- 目的・KPI:問い合わせ件数/月、採用応募数、資料DL数など、必ず数字で握ります。“ゼロ→1”なのか“1→10”なのかで手の打ち方が変わります。
- 期限:希望公開日、撮影日、法務レビュー日、DNS切替日などのマイルストーンを置きます。
- 予算レンジ:初期費用と月額運用を分けて聞きます。SaaSや広告費、写真素材費も入るか確認します。
- ターゲット・ペルソナ:意思決定者と現場利用者が異なるケースを想定します。BtoBなら発注フローを簡略図にしておくと良いです。
- 競合/参考サイト・好き嫌い:UIだけでなく、構造やCTAの強さの観点で好みを掘ります。
- 社内更新の要否・頻度・担当者スキル:CMSの選定基準に直結します。
こうして“狙う成果・期限・費用・顧客像・運用力”をひとつの紙にまとめます。ここが合意できれば半分終わりです。
2)現状資産の棚卸し
- ドメイン/サーバ/メール:契約者名義やログイン権限を必ず確認します。
- ロゴ・CI、写真/動画、既存テキスト、会社案内:再利用可否と画質、権利(社外カメラマンの契約)をチェックします。
- 法務文書:規約、プライバシーポリシー、クッキーポリシーの有無を確認します。後で触れますが、日本ではAPPI(個人情報保護法)に基づく表示や運用が前提になります。
3)体制・契約まわり
- 決裁者/窓口/RACIを確定します。窓口は1名にすると意思決定が早いです。
- 契約形態(請負/準委任)、検収条件、支払条件を明確化します。
- 著作権/素材ライセンス/再委託範囲:写真やアイコンのライセンスは“改変・商用・二次使用”の可否まで明記します。
4)スコープ定義 & 概算見積
- ページ群:トップ、事業、実績、会社情報、採用、問い合わせなど、画面一覧に落とします。
- フォーム要件:項目、通知先、スパム対策(reCAPTCHAやhCaptchaの採用、しきい値)を決めます。
- 追加機能:多言語、ブログ、ニュース、検索、会員、資料DL、タグ付け等。
- 初期費用/運用費:保守、ホスティング、CDN、監視、更新代行を分けて積算します。
“できることリスト”ではなく“やらないことリスト”も明記すると、後工程が静かになります。
5)情報設計(IA)/サイトマップ
- ナビゲーション構造:ユーザー導線とCTA(例:資料請求・見積依頼・採用エントリー)を最短で結ぶ設計にします。
- 画面一覧・ワイヤーフレーム:主要ページはファーストビューで“価値・証拠・次の一歩”を並べます。抽象→具体→行動の三拍子が効きます。
- 検索導線:ブログや事例はカテゴリ・タグ・内部リンク方針を先に決めます。
6)コンテンツ計画
- ページごとの目的と見出し構成を決めます。
- コピーライティング方針:トンマナ、証拠(実績・数値・顧客の声)を集める段取りをつくります。
- 撮影/素材調達:人物・職場・製品の写真は“信頼”に効きます。BtoBなら設備や作業風景の写真が刺さりやすいです。
- E-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)を意識して、担当者名や所在地、実績の一次情報を出す設計にします。Googleは“人の役に立つ内容か”を重視するため、作り話ではなく現場の知見を載せます。
7)ブランド/デザイン方針
- カラーパレット・タイポグラフィ・UIコンポーネントの基準を決めます。
- レスポンシブとアクセシビリティを前提に、フォーカス可視やコントラストを早期に確認します。WCAG 2.2ではフォーカスの見え方や操作容易性に関する基準が追加されています。
8)SEO 基本設計
- キーワード仮説→競合SERP観察→情報ニーズの整理を行います。
- タイトル/メタ/構造化データ/内部リンクの方針を決めます。
- 会社情報(住所・地図・代表者・沿革)と実績ページで信頼性を補強します。
- Core Web Vitals(LCP/CLS/INP)をKPIに含めます。INPは2024年3月にFIDの後継として正式採用されました。
- Search Centralのスターターガイドと“People-first”の考え方に沿って、過剰なテクニックではなく、役に立つ内容を積み上げます。
9)アクセシビリティ(WCAG 2.2)
- 見出し階層、代替テキスト、フォームラベル、コントラスト、キーボード操作、フォーカス可視をチェックします。
- 動画の字幕や自動再生制御も配慮します。
- 最低でもAAに照準を合わせ、デザイン初期から考慮します。公式の2.2仕様と“何が新しいか”の概要を参照し、チェックリスト化します。
10)法務・コンプライアンス
- プライバシーポリシーとクッキー同意の方針:日本のAPPI(個人情報保護法)ではクッキー自体が即“個人情報”とは限りませんが、第三者提供や“個人関連情報”の扱いでは同意や確認が論点になります。迷ったら弁護士確認を組み込みます。
- 特定商取引法表記(EC/有料サービスがある場合)は所管官庁の指針を参照し、表示義務を満たします。
- 会社情報・免責・著作権表示も整えます。ここは後回しにすると公開直前で詰まります。
11)CMS/更新運用設計
- CMS選定:STUDIO/WordPress/ヘッドレス/microCMSなど、運用者のスキルと権限要件で選びます。
- 権限・承認ワークフロー・下書き→公開の流れを決めます。
- 編集ガイドと運用マニュアルを最初に作り始めると、公開後の混乱が減ります。
12)技術選定・基盤
- ホスティング(静的/マネージドWP/VPSなど)とSSL/TLSは必須です。
- CDN/WAF/バックアップ/監視(死活・エラーログ)を“運用費”に含めます。
- パフォーマンス目標:
- LCP ≤ 2.5s、CLS ≤ 0.1、INP ≤ 200ms を目安にします(“良好”のしきい値)。
- 画像最適化:WebP/AVIF、遅延読み込み、適切なサイズの出し分けなどを標準化します。
- 将来の拡張(多言語や会員機能)を見据え、API設計や認証方式を先に決めます。
13)計測設計
- GA4/タグマネージャ/Search Console を導入します。GA4のプロパティ作成→データストリーム→タグ実装、GTMでイベントを管理、Search Consoleでインデックス状況を監視します。
- 重要イベント/コンバージョン定義:問い合わせ送信、資料DL、電話タップなどを“計測テーブル”に整理します。
- UTM運用ルール、サンクスページ or イベントでの計測確認を行います。
- Core Web VitalsのレポートもSearch Consoleで継続監視します。
14)制作(デザイン→実装)
- デザインカンプ/プロトタイプを承認し、UIコンポーネントを再利用設計します。
- アクセシビリティ実装:適切なalt、ラベル、フォーカスリングを反映します。
- メタ設定:タイトル、description、OGP、構造化データを埋め込みます。
- 画像書き出しは“Web向け最適化+代替テキスト”セットで運用に引き継ぎます。
15)テスト/品質保証
- 主要端末/ブラウザ検証、レスポンシブ表示を確認します。
- フォーム送信・バリデーション・スパム対策:reCAPTCHA v3/hCaptchaのスコア確認としきい値調整を行います。
- 404/500ページ、robots.txt、sitemap.xml、noindexの有無を点検します。robots.txtの位置と役割はSearch Centralのガイドに沿います。
- パフォーマンス計測(LCP/CLS/INP)とアクセシビリティ簡易監査を行い、数値で改善します。
16)リリース準備
- DNS切替手順、ロールバックプラン、関係者周知を整えます。
- キャッシュ・リダイレクト設定、初期監視(エラーログ/アラート)を用意します。
- 社内向け操作レクチャー、連絡チャネル(Slack/メール)を決めます。
- Search Consoleにサイトを登録し、robots.txtやサイトマップの検出状況を確認します。
17)運用・改善
- 更新カレンダー(ニュース/事例/採用/ブログ)を月次で回します。
- KPIモニタリング→月次レポート→改善施策のPDCAを契約内に組み込みます。
- 保守(バックアップ/脆弱性対応/証明書更新)を忘れずに回します。
- “人の役に立つ”を軸に、E-E-A-Tの観点で一次情報を継続的に追加します。
付録:最初に用意しておくと早いドキュメント
- ヒアリングシート / RFP(目的・KPI・期限・予算・体制・既存資産・禁止事項)。
- サイトマップ & 画面一覧(RACI列を付けて“誰が決めるか”を同時管理)。
- ワイヤーフレーム(ファーストビューに“価値・証拠・CTA”の順)。
- 計測設計書(KPI・コンバージョン・イベント・GTM設計・検証手順)。
- 運用マニュアル(CMS更新手順・権限ルール・公開フロー・緊急時連絡手順)。
よくあるアドバイスへの小さな疑問と、現実解
- 「まずは格安で作って、後で育てましょう」
ありがちな提案ですが、要件未定のまま着手すると後で“育成費”が膨らみがちです。最初にKPIと計測、運用体制まで決めておくと育成が現実になります。 - 「デザイン命です」
見た目は大事ですが、成果は“導線×コンテンツ×速度”の掛け算です。Core Web Vitalsやアクセシビリティの“最低ライン”を先に決めると、デザインの方向も定まります。 - 「SEOは外注にお任せで」
人の役に立つ一次情報は現場にしかありません。E-E-A-Tの観点で“だれが経験を書き、だれがレビューし、どの証拠を載せるか”をワークフロー化すると、検索も問い合わせも安定します。
というわけで:今日から動けるチェックリスト(簡易版)
- 目的・KPI・期限・予算・体制(RACI)を1枚にまとめます。
- サイトマップと画面一覧→ワイヤー→概算見積を作ります。
- 法務方針(APPI/特商法/クッキー)を弁護士確認ラインとセットで決めます。
- 計測(GA4/GTM/Search Console)とCore Web Vitals目標を先に置きます。
- WCAG 2.2 AAの要点をデザイン初期から反映します。
- フォームのスパム対策と監視の導線を最初から確保します。
まとめ:明確な“正解”より、回る“仕組み”を一緒につくる
中小企業のサイト制作は、きれいなサイトを作ることがゴールではありません。社内の更新体制と計測の仕組みをセットにして、問い合わせや採用応募という“行動”を着実に生むことが目的になります。とはいえ、最初から完璧を狙うと固まります。今日お伝えしたチェックを“最低ライン”として軽やかに進めて、公開後に小さく改善していくのがいちばん現実的だと思います。小さな一歩から始められると、きっと楽になります。
参考リンク(公式多め・タイトル+URL)
- Web Content Accessibility Guidelines (WCAG) 2.2 — W3C
https://www.w3.org/TR/WCAG22/ - What’s New in WCAG 2.2 — WAI
https://www.w3.org/WAI/standards-guidelines/wcag/new-in-22/ - Understanding Core Web Vitals and Google Search — Google Search Central
https://developers.google.com/search/docs/appearance/core-web-vitals - Introducing INP to Core Web Vitals — Google Developers Blog(INPは2024年3月にFIDの後継へ)
https://developers.google.com/search/blog/2023/05/introducing-inp - SEO Starter Guide — Google Search Central
https://developers.google.com/search/docs - Creating helpful, reliable, people-first content — Google
https://developers.google.com/search/docs/fundamentals/creating-helpful-content - Search Quality Rater Guidelines(E-E-A-Tの位置づけ)
https://services.google.com/fh/files/misc/hsw-sqrg.pdf - [GA4] Set up Analytics — Google サポート
https://support.google.com/analytics/answer/9304153 - Your guide to Google Tag Manager — Google サポート
https://support.google.com/tagmanager/answer/12811173 - Introduction to robots.txt — Google Search Central
https://developers.google.com/search/docs/crawling-indexing/robots/intro - 個人情報保護委員会 – PPC |個人情報保護委員会
https://www.ppc.go.jp/ - reCAPTCHA v3 ドキュメント — Google
https://developers.google.com/recaptcha/docs/v3 - hCaptcha Docs
https://docs.hcaptcha.com/






