今日は「イギリス経済の今」についてちょっと真面目に、でも分かりやすく掘り下げてみたいと思います。
というのも、EU離脱から9年が経ち、イギリス国民の間ではこんな声が増えているんです。 「離脱は間違いだったんじゃないか…?」
実際、2025年時点のYouGov調査によると、56%のイギリス人がEU離脱は間違いだったと考えており、正しかったと答える人は32%しかいないという結果が出ています(出典:YouGov)。
では、何がそんなに「間違い」だったと感じさせるのでしょうか? その背景を探っていきたいと思います。
「離脱して正解」だったはずが…国民の本音と葛藤
もともとEU離脱、いわゆる「ブレグジット」は、イギリスがより独立した国として経済的・政治的に自由になることを目的に掲げられていました。
ですが、実際に離脱してみるとどうなったか。 「生活が苦しくなった」「医療や福祉がボロボロ」「働き手がいなくなった」といった声が次第に増えていきました。
中でも印象的なのが、「ブレグレット(Bregret)」という言葉が生まれたこと。 これは、”Brexit”と”regret(後悔)”をかけ合わせた造語で、「EU離脱しなきゃよかった…」という国民感情の表れです(出典:Euronews)。
ただし、じゃあ「EUに戻ろう!」という声が大きいかというと、そこは微妙。 生活が苦しいからEUに戻るどころじゃない。そんな現実的な事情があるんです。
イギリスで起きている“2つの大問題”
イギリス経済が落ち込んでいる理由として、主に2つの大きな問題があります。
1つ目は、生活費の高騰。 2つ目は、国の中で意見が真っ二つに割れているという分断の問題です。
まず生活費の方から見てみましょう。 2022年10月にはインフレ率が11.1%という、41年ぶりの高水準を記録しました(出典:ONS)。 その後、2025年5月には3.4%まで下がりましたが(出典:The Times)、食料品や住居費などの生活必需品に関しては依然として高止まりしています。
また、政治的な分断も深刻で、離脱支持・反対の両者の溝は埋まらず、建設的な議論が進みにくい状況です。
家賃54万円!ロンドンの暮らしが“普通”じゃない
イギリス全体の平均家賃は月約£1,339(約27万円)とされていますが、ロンドンでは月£2,698(約54万円)という水準に達しています(出典:Zoopla)。
一方、ロンドンの平均年収は約£41,500(出典:Economy of London)。 手取りにするとおよそ£30,000程度と推定され、年間の家賃が£32,376に及ぶという計算になります。
これは、年収のほぼすべてが家賃に消えてしまう構造であり、特に中間層にとっては非常に厳しい状況です。
EU離脱で失った“稼ぐ力”と労働力
EU離脱によって、イギリスは「国の稼ぐ力(生産性)」を失ったと言われています。
OBR(Office for Budget Responsibility)の推計では、EUに残っていた場合と比べて、イギリスの長期的な生産性は4%低下するとのことです(出典:CER)。
また、EUとの貿易が減少し、輸出入が15%ほど落ち込むとの予測も出ています(出典:Camecon)。
医療も介護も崩壊寸前!止まらない人材不足
EU離脱の影響は医療・介護分野にも及んでいます。 特にNHS(イギリス国民保健サービス)では、EU圏からの看護師の応募が国民投票の翌年に87%減少したというデータがあります(出典:Wikipedia)。
その結果、病院の待機時間が延びたり、介護施設の運営が困難になるなどの事態が報告されています。
福祉カットで社会不安が加速する悪循環
イギリス政府は財政再建を目的に、福祉支出を大幅に削減する方針を掲げています。 2029年度までに約48億ポンド(約1兆円)の削減が予定されており、特に障害者や高齢者など社会的弱者に影響が及ぶとされています。
一方で、防衛費はGDP比2.5%へ増額され、ODA(政府開発援助)などを削減して充当されている状況です(出典:UK Government Spending Review)。
富裕層まで国外脱出、その理由とは?
2024年には約9,500人、2025年には最大16,500人の富裕層がイギリスを離れると予測されています(出典:Henley & Partners)。
背景には「ノン・ドミサイル制度(Non-domiciled status)」の廃止があり、これまで非課税だった海外資産にも課税が及ぶようになるためです(出典:UK Government Budget 2024)。
政治が語れない「本当の問題」こそが最大の壁
多くの国民が「EU離脱は失敗だった」と感じているにもかかわらず、その議論が政治の場ではタブーになっている現状があります。
そのため、EUとの再接近や貿易改善策が本格的に議論されることは少なく、問題の本質が棚上げにされたままになっているのです(出典:YouGov)。
というわけで:イギリスの話は、明日の日本かもしれない
ここまで読んでいただきありがとうございました。
イギリスの経済問題、最初は「遠い国の話」だと思ったかもしれません。 でも、富裕層の海外流出、医療や福祉の崩壊、分断と緊縮財政の悪循環… これって、実は日本にも共通する課題がたくさんあるんです。
もちろん状況は違いますが、「明日は我が身」と考えておくことは損ではないはずです。
新しい視点や気づきが、少しでも読者のヒントになればうれしいです。






