リーマン級は来るのか?1.4京円の隠れ債務が意味する“危機”と3つの対策

ほてまるり金融危機メモ書き
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最近、「またリーマンショックみたいな金融危機って来ると思いますか?」という質問をよく耳にします。たしかに、あの2008年のショックは日本の経済にも影響を与えました。株価の下落や企業業績の悪化など、さまざまな場面でその余波を感じた方も多いかもしれません。

そんな中、日経新聞などで「米ドルの隠れ債務が1.4京円に達した」という報道がありました。BIS(国際決済銀行)もこの件について注意喚起しており、無視できない状況といえそうです(出典:https://www.bis.org/press/p221205.htm)。

今日はこの「隠れ債務って何?」という話から、「なぜそれが私たちにも関係してくるの?」という視点、そして「どのような備えができるか?」という点まで、わかりやすく整理していきます。


よくある「金融危機は周期的に来る」論、その落とし穴

「金融危機は10年ごとに来る」とよく言われます。

たしかにリーマンショック(2008年)の前にはITバブル崩壊(2000年)、そのさらに前にはアジア通貨危機(1997年)など、定期的に大きな金融の動揺が起こってきました。

ただ、だからといって「またそろそろ来るだろう」と決めつけるのは早計です。

今回話題の「隠れ債務」は、そうした周期的な危機というより、構造的に蓄積されてきたリスクが大きくなっているという観点から注目されています。


「隠れ債務」って結局なに?ざっくり解説します

この「隠れ債務」というのは、主に「FXスワップ」と呼ばれる取引で発生します。ざっくり言えば、自国通貨(例えば日本円)を一時的に担保として提供し、米ドルを調達する仕組みです。この取引は会計上「未来の決済」と見なされるため、貸借対照表に直接は反映されません。

このように帳簿に現れない形で発生するドル債務を、BISは「オフバランス債務(帳外債務)」として警戒しています。

2022年のBIS報告書によると、非米国居住者が保有するオフバランスのドル債務は合計で98兆ドル(約1.4京円)に上る可能性があるとされています。

また、この債務の約8割は1年以内に満期を迎える短期契約であるとされており、資金繰りへの影響が懸念されます。


実は日本の銀行も無関係ではないかもしれません

「これはアメリカの話では?」と思うかもしれませんが、日本の金融機関もこうしたFXスワップを通じてドルを調達する構造の一部に関わっていると考えられます。

たとえば三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は、海外事業においてドル資金を一部市場から調達していることが確認されています(出典:https://dbrs.morningstar.com/research/398636)。

これは、世界的なドル需給の変化が日本の銀行にも間接的な影響を及ぼす可能性を示唆するものであり、リスク管理の観点から注目されています。

もちろん、現時点で各行が重大な問題を抱えているというわけではなく、報道もそういったリスクへの「備え」の必要性を呼びかける趣旨が強いようです。


とはいえ、事前にできる備えもあります

では、私たちが個人としてできる備えにはどのようなものがあるのでしょうか?

以下のような対策が考えられます:

  • ① ドル依存度の見直し
    自分の資産がどれだけ米ドルに依存しているかを確認し、バランスを見直すきっかけになります。
  • ② 通貨の分散と現金比率の確保
    円やドルだけでなく、スイスフランやユーロなど複数の通貨をバランスよく保有することがリスク軽減につながるかもしれません。
  • ③ 安全資産への分散投資
    金を始めとした貴金属、不動産、仮想通貨(ビットコインなど)、実物資産や非中央銀行通貨の一部保有を検討するのもひとつの選択肢です。

というわけで:見えにくいリスクには「見える備え」を

1.4京円という数字は非常に大きく、報道としてもインパクトがあります。しかし、これを過度に不安視するのではなく、「そうした規模の取引が存在する」という事実を認識することがまず大切です。

その上で、自分にできる範囲で資産の分散やポートフォリオの見直しを行うことで、予期せぬ変化にも柔軟に対応できるようになるかもしれません。


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