こんにちは!
今日は「GPT-5を実際に触ってみて、どこがどう良くなったのか」を、体感と運用のコツという視点でまとめます。
発表直後はいつもお祭りムードになりますが、いざ使うと「で、なにが変わったの?」となりがちです。私も毎回そうです。
そこで今回は、モデルの整理、同調の減少、無根拠や憶測の扱い、コーディングやライティングの改善点などを、できるだけ日常の仕事に寄せて説明します。
大げさな花火は少なめ。だけど地味に効くところは確実に増えた、という印象です。
「結局どこで使えば得か?」という運用の話まで踏み込みます。
読みながら自分の現場に置き換えてもらえると嬉しいです。
- 要約
- 1. モデル選びの迷子が減った:三段構えで“使う前”が楽になりました
- 2. “ヨイショ”が控えめに:フラットな文体で読みやすくなりました
- 3. 幻覚は減ったけれど、検証の習慣は残しましょう
- 4. Thinkingは“考えの量”を賢く配分:速いのに要点へ届きます
- 5. コーディング:フロント重め・大規模寄りで差が出ます
- 6. ライティング:湿度控えめで“読みやすい骨組み”が通ります
- 7. ヘルスケア:使いどころを見極めると心強い相棒になります
- 一般論への疑問:「新しい=無条件に最強?」に距離を置く
- よくあるアドバイスの落とし穴:「とりあえずThinking常時オン」
- すぐ試せる“違いが分かる”プロンプト10本
- 導入の現実的プラン:個人とチームでこう回す
- というわけで:派手さは控えめ。でも日々の摩擦が確実に減ります
要約
最初にざっくり結論です。詳細は後述します。
- モデル構成はスッキリしました。基本はGPT-5。深く考えさせたい時は“Thinking”。より重い案件は“Pro”という三段構えです。
以前の「名称が多すぎて迷子」状態がだいぶ解消されました。 - 文章の“ヨイショ”が控えめになりました。過剰に褒めたり、“最高ですね!”みたいな温度高めの返しが減り、骨太な要点に寄っています。
そのため、議事の要約や仕様整理のように“冷静さが効くタスク”では読みやすさが上がったと感じました。 - 憶測や思い込み、無責任なアウトプットは減りましたがゼロではありません。
根拠の明示や、出典の併記を求めるプロンプトを習慣化すると、実務の信頼度はもう一段安定します。 - コーディングはフロント寄り・大規模寄りで差が出ます。
「画面を一枚で通す」「関連ファイルをまたぐ不具合を追う」といったケースで有利です。 - ライティングは“湿度控えめ”。
情緒過多になりにくく、構造化(主張・根拠・懸念の仕分け)が前より素直に通ります。 - ヘルスケア系は、セルフケアの一般アドバイスや数値の意味の説明には相性が良いです。
一方で、診断や治療の意思決定は専門家と併走する前提が安全です。
1. モデル選びの迷子が減った:三段構えで“使う前”が楽になりました
以前は、似た名前が並んで「どれを選べば?」と立ち止まることが多かったです。
GPT-5の三段構えは、思考の深さに応じて“弱・中・強”を切り替える感覚に近づきました。
日常の下書きや短い要約は、まずは通常のGPT-5で十分です。
要件定義の比較検討や、複数案の利点・欠点を丁寧に洗い出すときは、Thinkingへ。
規模の大きい設計レビューや、エッジケースまで網羅した仕様の穴探しは、Proの守備範囲です。
これだけでも“着手までの摩擦”が小さくなります。
実務では、最初の10分で迷うと、そこで集中力が削られるからです。
まずは基本で走り、必要に応じて思考の深さを切り替える。
それだけで、手戻りが減っていきます。
2. “ヨイショ”が控えめに:フラットな文体で読みやすくなりました
以前は「軽く相談しただけなのに、なんだか過剰に褒められる」という違和感がありました。
嬉しいときもあるのですが、仕事の文章だと途中で息が詰まります。
GPT-5では、そうした“温度高めの同調”が控えめです。
議事録の整理、仕様の論点出し、FAQの骨子作成など、淡々と要点を並べたい作業で、体感のストレスが下がりました。
たとえば「このメモを“決定事項/宿題/保留”に分けて、責任者と期限を推定して」と頼むと、無駄な賛辞を挟まずに必要な枠だけを出してくれます。
その分、読み手の集中が保たれます。
接客のような“温度”が大事な文脈では、あえて「少し親しみやすく」とトーンを指定すればOKです。
つまり、デフォルトはフラット。必要に応じて温度を足す、という運用がやりやすくなりました。
3. 幻覚は減ったけれど、検証の習慣は残しましょう
“間違いが出ない世界”は、もう少し先です。
ただ、以前より見落としやすい誤りは確実に減っています。
現場の工夫として効くのは、プロンプトの“ひと声”です。
「根拠も箇条書きで」「出典がある主張には[出典?]を付けて」「計算は途中式も」といった指定を入れます。
また、結果そのものより“過程”を見せるよう促すのも有効です。
「どう考えてそう結論したか」を2〜3行で聞くと、こちらの再確認が早くなります。
要するに、AI側の質が上がった分、こちらの“点検の型”を整えると、全体の信頼度がもう一歩上がるということです。
家事でいえば、食材の質が上がったので、火加減と塩加減を整えれば、さらに美味しくなるという話です。
手間は少し増えますが、結果の安定度は大きく変わります。
4. Thinkingは“考えの量”を賢く配分:速いのに要点へ届きます
Thinking系は「遅いけど賢い」というイメージがありました。
GPT-5では、無駄な独白が減り、結論と根拠に早く辿り着くケースが増えています。
コツは、こちらの“期待する深さ”を言語化することです。
「短く要点だけ」「じっくり代替案も」「前提の不確実性を先に列挙して」など、深さのノブを回すイメージで指示します。
例えば仕様の比較であれば、
「A/B/Cの3案を、開発コスト・保守性・ユーザー影響で三段評価。最後に“実施時の落とし穴”を3つ」
と書くだけで、思考の配分が整います。
Thinkingは“常時オン”にせず、必要なときに使うのが吉です。
家電の“強風モード”と同じ。いつも強で回すと、騒音と電気代がかさみます。
5. コーディング:フロント重め・大規模寄りで差が出ます
小さなスニペットよりも、画面を丸ごと作らせるほうが違いが見えます。
UIの要件をテキストで渡し、Tailwindやコンポーネント分割まで一気に出させる、といった使い方が安定しました。
また、大規模リポのデバッグで“関連ファイルを飛び越える理解”がやや良くなっています。
ここは、こちらの投げ方も重要です。
ログは最初の100行に絞り、再現手順は“最小”で渡す。
「推定原因を3つ、確度順に」「追加で必要な情報を列挙して」と添える。
このセットで、修正案の質が目に見えて上がります。
依存ライブラリのバージョン差や、環境固有のクセには引き続き注意です。
“AIが初稿、人がレビュー”という役割分担を徹底すると、トラブルの初期消火が速くなります。
6. ライティング:湿度控えめで“読みやすい骨組み”が通ります
創作でも実務でも、情緒過多になって主張が霞む、という悩みはありがちです。
GPT-5は、トーンを指定しないときに“落ち着いた文体”へ寄りやすくなりました。
実務で効くのは、構造化の自動化です。
長い会議メモを「決定事項/ToDo/検討中」に分ける。
仕様書から「ユーザーストーリー→受け入れ条件」を作る。
記事原稿のドラフトから「主張/根拠/反論可能性」を仕分ける。
どれも“骨組みが先に立つ”ので、読み手が迷いません。
一方で、宣伝文など“熱量が要る文章”では、あえて「親しみ+5%、ユーモアは1段落に1回まで」とチューニングすると、ちょうどよく仕上がります。
トーンのノリしろは、まだユーザーの裁縫スキル次第です。
7. ヘルスケア:使いどころを見極めると心強い相棒になります
健康情報は、人によって感度が違います。
GPT-5は、生活習慣のアドバイスや検査値の一般的な意味づけには向いています。
ただし、診断や治療の意思決定は、医療者と一緒に検討するのが安全です。
AIの助言は“会話の下書き”。
病院での相談や、家族と共有するときの“問いの整理”として使うのが現実的です。
たとえば食後の血糖管理なら、
「食後10〜15分の軽い散歩」「長く座りっぱなしにしない工夫」「夕食後のスクリーンタイムを区切る」など、生活の工夫レベルに落とし込むと、無理なく続きます。
大切なのは、完璧を求めず“続けられる線”を探すことです。
AIは、その線引きを一緒に見つける相棒くらいの距離感がちょうどいいです。
一般論への疑問:「新しい=無条件に最強?」に距離を置く
新モデルが出るたびに、全部置き換えたくなる気持ちは分かります。
ただ、実務の現場では“勝てる場面”を選び取る方がコスパが良いです。
たとえば、定型的な社内FAQは軽量モデル+検索連携で十分なことが多いです。
一方で、仕様のすり合わせ、ログ解析、長文の構造化など“文脈の理解”が必要なタスクは、GPT-5の改善が効きます。
つまり、「全部GPT-5」ではなく「GPT-5を使うべき局面を決める」。
これだけで費用と時間の無駄打ちが減ります。
新しさに飛びつくより、使いどころの設計が勝負所です。
よくあるアドバイスの落とし穴:「とりあえずThinking常時オン」
Thinkingは強力ですが、常時オンにすると過剰思考で手数が増えます。
短いタスクが妙に重くなることもあります。
運用のコツは、ふだんは通常のGPT-5で回し、
「比較検討の深掘り」「代替案の洗い出し」「仕様の穴探し」のときだけThinkingに切り替えることです。
プロンプトで“深さ”を明示するのも効きます。
「短く要点だけ」「代替案も3つ」「前提の不確実性を先に列挙」など、思考の配分を指定しましょう。
AIの力を引き出すのは、結局こちらの“使い方の設計”です。
すぐ試せる“違いが分かる”プロンプト10本
- この議事メモを「決定事項/ToDo/保留」に三分し、責任者と期日を推定して追記してください。
- Next.jsプロジェクトのビルドログ(先頭100行)から、原因の仮説を3つ。確度順に並べ、追加で必要な情報を列挙してください。
- 仕様書からユーザーストーリーを5本作り、各ストーリーに受け入れ条件を3つずつ付けてください。
- 長文記事を「主張/根拠/反論の可能性」に分け、出典が必要な箇所には[出典?]とマークしてください。
- 食後の血糖管理について、一般向けのアドバイスを作成。最後に医療上の注意を2点だけ添えてください。
- Figmaの仕様テキストから、レスポンシブ要件を整理し、Tailwindのクラス設計案を提示してください。
- この関数の改善案を3つ。読みやすさ優先・速度優先・メモリ優先で、トレードオフも説明してください。
- この文章を「事実重視・ヨイショ控えめ・一文短め」に整え、変更点を[ ]で示してください。
- このデータのグラフ化で、軸の取り方を3案。見出し案も3つ添えてください。
- 社内FAQを「自動応答で足りる/人が対応すべき」にラベル分けし、判断基準を書いてください。
導入の現実的プラン:個人とチームでこう回す
個人利用なら、日常はGPT-5。
深掘りや比較検討のときだけThinkingへ。
記事制作や仕様整理など“構造化が要る業務”から置き換えると、効果が早く出ます。
チーム運用では、「プロンプトの型」「成果物テンプレ」「レビュー観点」を共有します。
たとえば“決定事項/ToDo/保留”の三分割をチーム標準にするだけで、会議後の作業が軽くなります。
コーディングは、エディタ連携やCLIを使い、“AIが初稿、人がレビュー”。
依存関係や環境差は人が最終確認する、という線引きが、安全で速いです。
ヘルスのようなセンシティブ領域は、用途の範囲をドキュメント化しておくと安心です。
根拠と出典の必須化、懸念点の明示、専門家への相談導線。
この三点を整えると、運用の不安がぐっと減ります。
というわけで:派手さは控えめ。でも日々の摩擦が確実に減ります
GPT-5は、目を奪うド派手な新機能よりも、“毎日の仕事で地味に効く改良”が中心です。
モデル選びの迷子が減り、同調が落ち着き、指示の通りに動く。
この三つが積み重なると、1週間・1か月で差になります。
最新だから全部置き換え、ではなく、勝てる場面を選ぶ。
Thinkingは必要なときだけ。
根拠の明示と点検の型を習慣化。
この三点だけで、あなたの現場はけっこう変わります。
無理せず、でもしっかり使い倒していきましょう。






