ハリウッド脚本術から学ぶWebプランニング(後編)

ハリウッドって見たスッキリする作品が多いですよね。

前回の記事はこちら
ハリウッド脚本術から学ぶWebプランニング(中編)

みなさんこんばんは。
宮城県仙台市にてWebのちからで様々な情報にアクセスしやすくし、様々なパフォーマンス改善をしちゃったりする時にはWebディレクター、時にはWebプランナー、時にはWebエンジニア、時にはWebデザイナー。
世界中の映画好きの味方、ma-sanです。

ハリウッドは王道であり、それがフローとして確立されている、ということを紹介している書籍があります。

分厚い本ですから、いくら説明しても説明しきれないほど充実した内容ですが、僕の日頃の業務内容ほぼ9割ほどがこの書籍の影響です。
前回まではハッピーエンド、ポジティブとネガティブ、ユーザー設定について書きました。

というわけで本日のお話です。

1.ハッピーエンドを望むには感情移入が必要

Webサイトでもポジティブとネガティブの使い分けは当然必要です。
ネガティブは「課題」を提示するためであり、ほとんどのWebサイトはそれぞれの課題を取り除くためのサービスを展開してます。
極論を言ってしまえば、私達一般ユーザーは食料そのものの準備はほとんどできません。そのため、スーパーなどで食料品を購入するなどが必要で、その行為自体が当たり前になっています。

この当たり前の背景に、多くの課題が存在します。

  • 食わなければ死ぬ。飢餓。
  • 当たり前に食料を準備するためには大量の食料を作り出す必要がある。
  • 足りない、はNG。多すぎた場合は破棄する。環境汚染。

さて、これらはいちいちユーザーに意識させる必要があるものでしょうか。

2.ただのネガティブでは終わらせない

ネガティブな主人公。これだけでは当然、共感をもてません。しかし、「ネガティブな主人公がどうやって現状を克服するのだろう」というポジティブな期待が存在します。
若年層向けのライトノベルなどではテンプレートとして「非リア充の主人公」というものがあります。
モテない、能力がない、カースト制の最下位、不本意な環境に身を置く、などなど現状を徹底的に下においとくことでその後に「モテない主人公がモテるようになる」「能力のない主人公が強くなる」「カースト制最下位が突然カースト最上位の人と仲良くなる」「差別的扱いから英雄的活躍をして尊敬される」などがよくある話となります。
これはネガティブな主人公と言えども、環境そのものをポジティブにすることで自動的にアゲアゲの展開にするという手法で、これもまた「王道」です。

「差別的扱いから英雄的活躍をして尊敬される」の手法は近年のライトノベルでは異世界転生物というジャンルでも使われますが、あまりに便利で人気のあるジャンルなため、とある賞では「異世界転生物禁止」とまで言われるほどになりました。
異世界転生物は世界観の一新、つまりは制作者にとって都合の良い世界設定が可能となるため起源などの調査をしなくても、自由に語ることができます。

3.現実と非現実を切り捨てるか否か

異世界転生物における流行りの背景には、ユーザーの投影先でもある「主人公」が「神」の役割を担うに他なりません。これは、異世界で生きることとなった主人公が「神の力で人々を導く」という超展開を持ち込み、大活躍をすることが描かれます。

さて、これは創作だから可能だろう、と思考を停止するのはとてももったいないことです。
私達の生きている現実においても、感動するような出来事はたくさんあったはずです。

  • テレビの出現
  • インターネットの出現
  • スマートフォンの出現
  • 人工知能の出現

など

これらは私達が楽しんできた創作物にも登場してきたような「超展開」が実現したかのようにも思えます。

4.それなりにネガティブという前提

本人がネガティブになる、というのは自分の中で「期待」というものがあるからです。
生活水準が低い「他者から見るとネガティブな状況」でも「現状で満足している」という人はいるわけです。その場合、本人はネガティブというわけでもありません。
このギャップがポジティブ、ネガティブの差であり、このギャップが大きければ大きいほど、動機づけに強く結びつきます。他者から見たネガポジ、自分視点のネガポジは異なるものと心がけてください。
「生活水準が低い現状に満足しているポジティブな人」にいくら「給料があがったほうが良い」「お金持ちになろう」「スキルアップをしたほうがいい」と言っても響かないのはこうした理由が大きいです。健康な人に保険の話などをしても「自分には関係ないから、若いから」というのも同様でしょう。

つまり、物語で言えば「現状に満足しているモブキャラクター」という存在であり、ある意味で普遍的な立ち位置にいます。

そして、行動を起こすには動機、「困難な状況にある」というネガティブな状況ではあるが「なんとかしたい」というポジティブな動機が発生するのです。
これが脚本における主役とモブキャラクターの違いです。

5.現状説明&現状を脅かす存在の非難

モブキャラクターの役割は簡単にまとめると以下の通りです。

・現状維持を望む大衆の反映(世界観の説明役)
・環境における意思(多数決による正義の反映)
・現状を脅かす存在への批判(悪魔の否定)
・現状を解決する存在への賞賛(神の肯定)

短編映画なんかでは序盤に風景と共にたくさんのキャラクターが日常を生活しているシーンを差し込むことが多いのですが、多くのモブキャラクターがそう「在る」だけで世界観の説明ができる、とても有効な手法です。
多くの説明を挟むとそれだけで時間がかかるので、一瞥するだけで環境が分かる説明役を担うことがあります。

仕事で間違えやすいのは大衆である「モブキャラクター」を「ターゲットユーザー」と認識してしまうことが大きな足かせになります。つまり、モブキャラクターにいくら呼びかけても応えることはありません。
あるのは現状維持です。
資料を作る際、モブキャラクターは説明役としてついつい扱ってしまいます。注意しましょう。

まとめ

提案の話しに戻り、下記のようにまとめます。

  1. 直感的に感情を揺さぶられる情報に感情移入する
  2. ネガティブな自分(自己投影できる情報、課題を持っている仮想人物など)の確認
  3. ネガティブな環境(不安な出来事、親の健康、住宅関連、保険など)の確認
  4. ネガティブな情報(足りていない数値、多くの課題)に感情移入する
  5. ポジティブになった存在(課題を解決した自分の姿、数値そのもの)に感情移入する
  6. 感情移入した情報と現実(値段、解決、数値、簡単かなど)のギャップに没入する
  7. 結果として、課題が解決できる。課題解決はあくまで結果であることが重要。その他の影響も多く存在する。

これらは、Web業界にかぎらずあらゆる業界、更に言ってしまえば若い子の大好きなゲーム業界や、映画などの脚本によく使われる手法で解決してきています。

僕はこれらの手法をWebシナリオという手法として落とし込み、その実現はWebアクセシビリティという品質によって支えられるものと定義しています。



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